最近、ちょっと気になることがあったので書いておきます。マイクロマネジメントなリーダーのチームが案の定疲弊しているわけですが、よく見たらそこでイケてないマネジメントのコンボが発生していたと。しかもこれ、良くあるコンボじゃないかなぁと思ったわけで。
イケてないコンボ
やたらと細かいボスが居る組織って、なんかうまく行かないっすよね。そんな組織でよくあるコンボ、それが「トップダウン、マイクロマネジメント、情報格差マウンティング」です。あくまで持論。
皆さんの身の回りにもこんなチームがあるのではないでしょうか。という訳で、一つづつばらしてみます。
誤った「トップダウン」が全ての元凶
もうね、とにかく、みんな「トップダウン」を勘違いしすぎ・・・っていうのが私見です。そもそもトップダウンはワンマンではない。
意思決定が早いこと。それこそがトップダウン。現場までごちゃごちゃ言ってきたり、俺の言う通りやれ、っていうのはトップダウンではありません。
トップダウンを機能させるためには前提としてコンセンサスがあります。そのトップの判断が信頼と信用に足るものであること。実績があり、カリスマ性があり、人を率いる素養があること。その前提のもとに、速やかなトップの判断が事業の成長を推進する。これがトップダウンの本来の姿です。
一方で、誤ったトップダウンとは、トップダウンを手段として考えるパターン。自分は役職者なんだから、トップダウンでこれは決めて良い、あるいは決めなければいけない。前提となるコンセンサスが不十分だし、そもそもそこに信用(責任)が付いてこなかったりすることもあり、そうするとトップダウンが機能しなくなります。
機能しないだけならまだ健全なのですが、残念ながらこのトップダウンを合言葉に、強権を振りかざすパワハラ上司っていうのがやっぱり居るわけです。うちの会社・チームはトップダウンだから、俺が決めるみたいな。
トップダウンは組織やチームのスタイルではなく、トップの素養によって成立するものです。そうじゃないものは、ただのハラスメントです。
マイクロマネジメントの元凶は成功体験
リーダーや偉い人が現場に指揮系統を飛び越えて指示してくる、あるいはそういった直接の指揮系統を作りコントロールする。所謂マイクロマネジメントはスケールしないマネジメント手法として忌み嫌われるスタイルです。
それでもやっぱりマイクロマネジメントをしたがる上司っていますよね。原因はなにかといえば、成功体験。自分がこうしてきたから、そのやり方じゃないとうまくいかない、だから自分が見なければならない、と。
あるいは、単に不安にかられている人も居るかもしれませんが、いずれにせよ、リーダーが現場に細かな指示をすることは良い結果を生みません。
マイクロマネジメントが横行すると、結果としてメンバーの裁量が減ります。そうすると、仕事の達成感やモチベーションがどんどん下がっていきます。
情報格差マウンティングは簡単で効果絶大
リーダーがリーダーしか知り得ない業務上の知識を元に優位性をとりつつ、部下をコントロールする。情報格差によるマウンティングは、とにかく簡単で、かつ、効果が絶大な方法です。ですが、実はそれだけ分かりやすいこともあり、悪評が立ちやすいものでもあります。
特に職場で自分の優位性を確保したいリーダーや年長者はこの手法をとりがちです。あるいは、無意識にこの状態になっていることもあるため、むしろ情報共有や情報格差の解消は、積極的に取り組まないといけない課題でもあります。
コンボしやすい3つのイケてないマネジメント
この3つの悪手は、コンボしやすい性質があると私は考えています。ベースにあるのは自分は偉く特別でありたいというリーダーの心理状態です。
情報格差によるマウンティングで優位性を取りつつ、トップダウンの名の下に自分で全ての業務コントロールを行い、部下に対しては事細かにマイクロマネジメントで指示出しをする。
当然、部下は情報格差によって本来の要件が見えていないので、それに従うしかありません。そんな環境下で高く評価されるのは、結局「使いやすい部下」になります。
じゃあその部下が成長できるかというと、幅広い業務情報や外部組織に触れていないため、実質的には全く成長できません。手は速くなるし、上司のオーダーへのレスポンスも良好なものになるかもしれませんが、それ以上の成長はありません。ましてや、次期リーダー層への昇進も難しくなってしまうでしょう。
結果として、こういったマネジメントが横行する組織は疲弊します。メンバーのやる気も削がれます。
どうすれば回避できるか
じゃあどうやってこのような状況を回避するか。上司と部下の目線で考えてみます。
上司がこのコンボにはまらないために
まずは、上司の皆さんへ。自分が意識的にしろ無意識にしろ、このコンボにハマっていないかどうかをセルフチェックすべきです。心理状態としてのチェックポイントは、部下の仕事に不安を覚えていないか、あたりかなと思います。
この状況を上司自ら打破する方法は簡単です。やめれば良いのですから。じゃあどうやって止めるか。正しい知識を身に着けましょう。
- トップダウンの本来の意味を学ぶ
- マイクロマネジメントの問題点を学ぶ
- 情報格差の問題点を学ぶ
要するに、マネジメントに対する素養があれば、この状況に陥るのを避けるのは簡単なことなのです。
そして、最大の特効薬は、何よりも部下を信頼し、仕事の裁量を与えることです。そんなのは分かってる、って声が聞こえてきそうですが、じゃあ、あなたは部下の意見がどれくらい自分の認識とあっていたら、それを許容できますか、というのが指標になります。
100%っていう人がきっと居るはずです。自分が理解できないことは許容できない、っていうタイプ。これ危険です。確実に部下を潰します。そんなの不可能です。
良く言われるのが、ここを60%程度に抑える方法です。つまり4割くらいは納得できなくても、そこは可能性、あるいは自分が気づいていない手法と見て許容しましょう、ということです。
ちなみに、これとは別に、上司の認知能力という話もあるのですが、それはまた別の機会にします。
この2点が実現できれば、より成長性とパフォーマンスの高い組織になっていけるはずです。もちろん、この2つだけで大丈夫とは言えませんが、まずは試してみる価値はあります。
部下がこのコンボにはまらないために
自分が部下の立場で、今の組織の上司がこのコンボにハマってるなぁと思われた方へ。端的に言えば、逃げるのが正解です。逃げましょう。あるいはその上司の上司に、マネジメント能力についての懸念としてエスカレーションするなどが正攻法ではありますが、やっぱり難しいので逃げましょう。
ただ、逃げるのも難しいという方は、周りに、その組織の外に、相談できる人を作りましょう。良く言われる「斜め上の上司」が本当はベストなのですが、そういった、今の指揮系統とは別の視座を得られる機会を確保することが精神を保つ上で重要です。
別にそれで状況がすぐに改善できるとは限りませんが、アウトプットの出し方や仕事への関わり方を少しづつでも変えていくことで、自身の成長に繋げていくなどの形も考えられるでしょう。
すぐに上司を変えるというのは難しいかもしれませんが、とにかく、外からの目線を得ることで、そのチームの業務を改善したり、上司への働きかけを行ったりすることができるようになってくると思います。
とにかく、外の目を得ることが大事です。
でも、やっぱりとりあえずは、逃げるのが1番だと思います。
マネジメント教育について
ここまで書いてきたとおり、結局大事なのは「マネジメント教育」ということになります。
私自身、マネジメントについては日々の苦労の中で自身で見つけてきたこと、上司からの助言の意味があとで分かったこと、その他書物やネットで見て実践してきたことをベースに、なんとか回している状態です。どこかでまとまった知識が得られれる機会があったら嬉しかったな、とか、そういう助言をくれる上司が居たら嬉しかったな、と思っていて、だからこんなことを書いていたりします。
コロナ禍でリモートワークも広く行われる昨今、組織マネジメントはますます難しく、また新しい手法やノウハウが必要になっている状況です。もっとマネジメント教育について重要性が認知されると嬉しいなと思っています。
ちなみに。
私はもともとシステムエンジニアです。インフラエンジニアなので、サーバーの構築や運用、障害対応などを行ってきた経験があります。私にとっては、人はプロセス、組織はシステム、組織間のトランザクションはAPIコールくらいのイメージで、会社組織を見ています。
そういう目から見ると、やはり美しくないシステム、組織は、うまくワークしなかったりするので、似たような性質があるなと思っています。なので、私にとって組織運用はシステムインフラの運用と同じだったりします。
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