人はしてほしいと望むことを人にしてしまう件

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価値観の違い、と言ってしまえばそれまでなんですが、人はそれぞれに嬉しいポイントが違っています。誰しもが、自分がしてほしいことを人にしれあげれば、相手は喜んでくれると思ってしまいます。この考え方を活用すると、人間関係の軋轢を回避でき、またメタ認知にも役立つよ、という話です。

カーネギー「人を動かす」を読んで気になったこと

きっかけはこの本です。ここ最近、メジャーなビジネス書をふらふらと読み漁っているのですが、そんな中、古典とも言われる「人を動かす」を読む機会がありました。内容についてはここでは触れませんが、この本の中で気になったのが、聖書の引用です。

聖書とは何かというとWikipediaでは「キリスト教、ユダヤ教の教典、正典」と呼ばれており、キリストの教えを記した本ということになります。キリスト教のコミュニティではこの聖書に書かれたエピソードが共通言語として挙げられることがあります。この本の中でも、一部引用があり、なるほど、海外の書籍を読むときはこういう知識もあると良いのかな、と思いました。

そこに書かれていた内容が「自分にしてもらいたいことはほかの人にも同じようにしなさい」という黄金律の考え方です。

黄金律は人々の軋轢を解消できるのか

形は違えど、自分も含め多くの人が小さなころから、人が嫌がることをしてはいけない、みたいな躾を受けてきたと思います。この考え方は間違ってないでしょう。裏返せば、自分がしてもらいたいことを人にするのは、自然なことです。それで相手が喜ぶことを期待しているというのも当然のこと。

ところが実社会でのコミュニケーションを見ると、良かれと思ってやったことが相手にとって不快に取られてしまうことは少なくありませんし、むしろ非難を受けることすらあります。

聖書の教えでは、どんなことがあっても主は見ていますよ、という形で捉えてるようですが、現実ではこれが起きるとストレスになります。つまり黄金律そのものは、こういったコミュニケーション上の軋轢を解決はしてくれません。

でも、この考え方を念頭に置くことで、解決は出来なくても対処はできるのではないかと考えています。

相手の行為は厚意と考えれば、その背景に黄金律がある

つまり、相手は良かれと思ってやっているのではないか、という認知を持つということです。これはメタ認知にも繋がる考え方ですが、自分が端的に感じた感情はおいておいて、その状況において相手が厚意によって何かを提供しているという前提に立つと、視界が変わるのではないかということです。

これについては、以前、情報共有に関する件を書いたときに触れています。

情報共有をしてくれない人は、決して嫌がらせしているわけではない可能性があります。むしろそれも厚意かもしれないのです。

そう考えると、相手の行為はやはり相手の中の黄金律に従っていると考えることができます。

解決はできなくても対処できれば向き合える

人はそれぞれに価値観が異なります。自分がしてほしいことを相手にしたとき、相手が喜んでくれないのは、まさに価値観の相違によるものです。相手の価値観を変えようとすることは無駄ですし徒労です。それなら、距離を取りつつ、そういう考え方も認めるような関係性も十分意味があると考えています。

相手の中にも黄金律がある・・・・もちろん、本気で嫌がらせをしようとしている相手は別として、ですが、相手の行為には厚意としての意味があると考えれば、向き合い方も変えていくことができるのではないかと思っています。

最近良く聞くD&Iについても、この考え方を活用できるのではないかと思っています。蓼食う虫も好き好き、という諺もありますし、人の嗜好・主義主張は様々ですからね。

じゃあ、現実のシチュエーションではどういう対応が出来るのか?というと、これについては映画などのシーンで参考になるやり取りを見たことがある方も多いでしょう。

『食えよ、うまいぞ』『ありがとう、気持ちだけもらっておくよ』

これです。気持ちだけもらっておく、で良いのです。決して「そんなグロテスクなもの食べるなんて信じられない!」とか騒ぎ立てなくて良いのです。そこで一息ついてから、いろいろ考えればいい。特に「信じられない」「理解できない」で反応しそうになった時は要注意かなと思います。

多様性はあらゆる問題を解決する特効薬ではありません。ただ、今まで考えられなかった解決策に辿り着ける可能性を秘めた、最適性の高い戦略です。一方で、非効率な戦略でもあります。多様性は効率が悪く、摩擦も大きいのです。多様性が重視される環境で、周りの人とどう向き合っていくかの一助として、こういった考え方を活用できるのではないかと期待しています。

現実として、私はこの考え方でかなり対人ストレスは減らすことが出来た気がしていますので。

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