真面目さは人を追い詰める。それは自分自身もだけど、周りに対しても高い要求を求めるなど、組織全体を疲弊させる可能性がある。という訳で、不真面目に行きましょうという話。いえいえ、不真面目って、そういうことではなくて、どうやったら現実と折り合いを付けられるかという一案です。
真面目さは尊いけど
そんなことを考えてました。
最近、若手のリーダーがちょっと真面目すぎて気になっています。このままではいつか周りに不幸をもたらします。
実はリーダーになる、って、真面目さを乗り越えて、理想と現実の折り合いをつけるという一つの節目ではないかと考えています。メンバーの頃は、目の前に掲げられたタスクに全力を尽くせば良いのですが、リーダーになると、そこにリスクマネジメントの要素や組織としての中長期的なレジリエンシーの要素が入り込んで、ただタスクに向き合っているだけでは高い成果を維持できなくなってきます。
そこで、現実と理想の間に折り合いをつけつつ、メンバーの育成もしなければならないというのが、リーダーシップの難しいところではあるわけですが、じゃあどうやって折り合いをつけるか。
私がいつも念頭に置いているのは、実は「自己報酬と他者報酬のバランス」なんですが、その前に、その根本となる考え方としての、「密度と選択性」という概念を書いておきたいと思います。
白黒付けない不真面目さ
まずは「密度」の概念について。密度って言っていますが、要するに、ゼロイチで判断しないで、70%うまくいったから成功、とか、30%しかうまくいってないから失敗、みたいにレベル感を持って物事を判断しようじゃないかということです。100%の成功も100%の失敗も無いってことを明確に意識しましょうと。
こんなことを言うと、ちゃんとゼロイチで判断しないなんて不真面目だ!って思われるかもしれませんが、現実の事象は連続性のもとに存在しているので、むしろゼロイチで表現するのが難しいことのほうが多いのではと思っています。
これを「密度」と称しているのは、適切な言葉が無かった、ということもありますが、要するに存在可能性として、密度としてしかその事象も存在も発生していないという考え方で物事を見ているということなんです。量子力学的な何か、と言っても良いのかなと勝手に思っています。
とにかく、白黒つけないカフェオレが美味しいように、白黒じゃない、これくらい黒いから黒かな、っていう判断軸を持つことで、思考の柔軟性が大きく広がると思います。同時に、ゆるい判断もあるんだ、というところに心の余裕が生まれるはずです。
判断しない不真面目さ
もう一つが選択性です。つまり選択しないこと。
これは要するにリスクマネジメントの話です。100%全振りしたら、失敗したときリカバリできないでしょ、って話で、そこにリスクヘッジをかけるのがリーダーの仕事なわけです。もちろんメンバーはそんなの気にする必要は無いかもしれませんが、組織的な、あるいはより大きなプロジェクトとなれば、リスクマネジメント、リスクヘッジは必須となります。
なので、そういった大きな判断を要するシーンになればなるほど、第二案は必ず用意されます。つまりそれはゼロイチで判断していないってことなんです。判断しない不真面目さです。
え、そんなこと言って、リーダーの仕事は「判断すること」って言うじゃん、って思われた方、それは正解なんですが、実際のところ、最も有能なリーダーシップってのは残念ながら、「最後の最後まで選択肢を持ち続けること」だったりするんです。常にゼロイチの判断をしているように見えて、常にリスクヘッジとして、別の選択肢を据えておく。だからこそ咄嗟のトラブルにも対応できるわけです。
不真面目さとはつまり心の余裕
以上2点をピックアップしてみましたが、どういうことかというと、リーダーとはこういった中途半端な状況をマネジメントするのが仕事だよ、ってことなんです。もちろん必要な判断も方向づけも行っているとして、内々ではリスクヘッジを常に考えているわけです。
つまり、不真面目さとは、心の余裕です。ここではリーダーの話をしていますが、これからリーダーになっていくような方たちにもこれを認識しておいて欲しいのは、多くのリーダーの判断軸なんてこの程度のものだということです。
よく、「リーダーの判断がころころ変わってついていけない」とか訴えられることがありますが、それは実は本質ではない可能性があります。本質的なところはブレていなくて、目先の判断でリスクヘッジしているところが、ブレているように見えると。むしろそこがブレて動けていることは、リーダーシップとしては健全なことということもできるわけです。
また、日々の仕事の中でも、判断が翻る可能性は常に考えておく必要があるということです。それは決して「だから目の前のタスクに全力投球しなくていい」ということではありません。全力投球したとして、失敗したとして、リーダーは第二案を、成功度70%となった場合のシナリオをきっと考えてくれていると、そういう視点でチームのタスクに取り組めますよ、ということです。
心に余裕を持つとはこういうことで、今目の前でおこなれている判断の背景に思いを馳せ、きちんと自分に腹落ちさせていくことなんだと思います。
一方で、これは新米リーダーの方々にお願いなのですが、是非不真面目に仕事に取り組んで欲しいです。真面目にやりすぎると、自分もメンバーも疲弊します。軽口叩いて前進するくらいが丁度いいのです。
あくまで経験則として
私の昔の上司に、突然タスクを降ってくる人がおりまして、その方と「聞いてない」「今言った」「むかつく」みたいなやり取りをしていたことがあります。僕の中の座右の銘は「ですよねー」です。あ、やっぱり、そうなっちゃいます?”ですよねー”って、それくらいの感じで日々のお仕事をこなしています。
それは不真面目っていうことでもあるのですが、一方でストレスコントロール、パフォーマンスコントロールについて、自分なりの手法が確立できているってことかなとポジティブにとらえています(苦笑)。
実はこの根本には「他者報酬と自己報酬」っていう概念があるのですが、それはまた別の話にしたいと思います。まあ既にここまで読んで分かるかもしれませんが、要するに他者報酬と自己報酬も密度で考えましょうということですね。
以上、今日はここまで。明日も不真面目にお仕事に取り組んでいきましょう。
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