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仕事ができる人の自己開示能力について。リモートワークとパフォーマンスの話。

time 2021/07/05

絶賛リモートワーク展開中の我が国日本ですが、パフォーマンスや従業員満足度など、様々な課題や解決手法の議論が進んでおり、こうやって世界は変わっていくのかなぁというのを実感して入り今日このごろ。そんな中で気になった、仕事ができる人の自己開示能力についてです。

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リモートワークがもたらす断絶

リモートワークが長く続く中で、パフォーマンスの高いメンバーと低いメンバーの差が広がっているという声があります。実際これは私も肌感としてあるところです。結局、いわゆる仕事ができる人、ハイパフォーマーに仕事が集まり、その集中度合いは加速度的に増しているという事実があります。

業種や職種、業務の内容によってこの度合いや状況には差があることは想定されますが、こういう職場も少なくないのではないかと感じています。少なくとも、IT系の上流工程に係るような業務ではこの傾向が強いのではないかと勝手に想像します。

つまり断絶です。ちょっと言葉が正しいかどうかは分かりませんが、なんとなく断絶って言ってみたかった。パフォーマンスの差がある人達が相互に助け合うようなリレーションが取れないという側面もあるのかもしれません。

仕事ができる人は能力が高いのか

ここで一つ仮設というか持論ですが、果たして仕事ができる人は能力が高いのか、という疑問です。私は能力と仕事のパフォーマンスには一定の相関はあるにせよ、必然ではないと考えています。むしろ連動しない要素が強いのではないかとさえ考えています。

仕事ができる人とは、より多くの仕事を受けている人です。量じゃなくて質や価値だよ、って声もあるでしょうが、量的な面も含め、ある程度の仕事が「集まる」性質があるのが、仕事ができる人の特徴です。ではなぜ仕事が集まるのか。この集まりやすさの差が、実はリモートワークで増長されている、というのが私の仮設です。

じゃあ、仕事が集まるのは、能力が高いからなのか、となるわけですが、これがYESとは言い切れない。実際、私もメンバーを管理する立場ですが、自分の立場で考えても、仕事を依頼しやすいのは、能力が高い人ではないのです。はっきり言えば、「期待値が明らかな人」、これに尽きます。期待どおりの成果が一定のターンアラウンドで返ってくる。そういう人に仕事は依頼しがちになるし、結果として、仕事が集まるのです。

不安定な高い能力より、確実なターンアラウンド。これは特に複雑な業務を推進する上では非常に重要な要素になります。適切なタイミングでジャッジを行わなければならない性質の業務において、それが一定の水準で確実に返ってくることが重視されるのは当然ですし、特にリモートワークのような不確実な業務環境においては、さらにこれが重要になります。

仕事への取り組み方として、こういう人は何が違うかと言うと、比較的これは簡単で、アウトプットに対する目線合わせを実施しているか否か。ここにポイントがあります。依頼された内容について、いつまでに、どういったレベルのアウトプットを返すか、必ずネゴシエーションするという、この一工程があることで、業務の進度に対する解像度が一気に高まり、安心感が得られるのです。

そしてそのネゴシエーションの積み重ねにより、さらに期待値と実際のアウトプットのレベル感の精度が合ってきて、ますます仕事を依頼しやすくなるという構図です。

ポイントは「自己開示」

これは何かといえば、根底にあるのは「自己開示」だというのが私の持論です。自分はここまでできます、ということをきちんと言えるかどうか、この能力によって仕事ができるか否かが決まっている面があると感じています。

リモートワークになると、この自己開示の機会が大きく減少します。まさに雑談などで保管されていたのが、自己開示の共有による相互の期待値調整だったわけですが、それがなくなってしまった。そうするとそもそも自己開示能力(ひいてはコミュニケーション能力)の高いハイパフォーマーに仕事が集まる状況を増長しているということです。

この自己開示能力のみならず、リモートワークは様々なスキル差、特にビジネススキルやソフトスキルと呼ばれるものの差を増長する効果があると感じています。逆に言えば、これを補完することこそが、リモートワークの課題解決として重要なポイントであると言えると思います。

一方で、自己開示のスキルの低い人には、この自己開示自体に心理的障壁があるのも事実です。これをいかに低減するか、そういったマネジメントが必要なのではないかと考えています。

良くある勘違いを超えられるか

ここからはちょっと脇道にそれますが、ハイパフォーマーについてよくある勘違いをまとめておきたいと思います。「自己開示」によって仕事が集まる仕組みができているように、パフォーマンスが高い人達にはそれなりの理由があります。ただしそれは一般に考えられているものとはちょっと異なる側面があるかもしれない、という話です。

ハイパフォーマーは能力が高いのか

能力の高さは必須ではありません。仕事が集まる仕組みと安定的なアウトプットを生み出す仕組みを持っている人が実はパフォーマンスの高い人の正体です。それを支える能力として自己開示という資質があります。仕組みによってパフォーマンスを高めている、というのが本質です。

ハイパフォーマーは偉い人と仲が良いのか

パフォーマンスの高い人は偉い人と仲良しで自分たちが持っていない情報を持っているなど、何らかの優位性を得ているのでは、という声がありますが、これ実は因果関係が逆なことが多いです。仕事ができるから仲良しになった、ということのほうが多いので、仲良くなるほうを先にするのは悪手です。だいたい相手にされません。

ハイパフォーマーは地位が高いのか

役職が高い人がより大きな裁量で大きな成果を出すのは当たり前のことなのですが、だからといって今自分が自分の職位職階で十分な成果を上げているかとは別の話であることに気づきましょう。自分が成果を上げられないのは役職が低いからだ、と思う人は、役職は成果に対して付いてくる、という原則に目を向けましょう。これも逆です。

あと、こういう思考の人は、だいたい偉くなると周りを下に見ます。それはだいたいマネジメントには見切られていますので、なかなか昇進できません。

ハイパフォーマーは凄い努力をしているのか

前述の通りですが、パフォーマンスの高い人は概ね自分の周りに仕組みを張り巡らせてアウトプットを出すようにしています。意外に努力はしていません。正確には、仕組みを張り巡らすことに対して手間暇は惜しみませんが、仕事そのものに対しては時間をかけて成果を出すという発想がありません。

ハイパフォーマーは周りを無視して突っ走ってるのか

巻き込み力という言葉がある通り、パフォーマンスの高い人ほど周りをちゃんと巻き込んで仕事を推進します。自分のスピードに付いてこれないメンバーを置き去りにするようなことはしません。正確には、付いてこれないメンバーにも付いてこなくても成果が出せるロールをアサインします。

情報共有をしないで突っ走ることでパフォーマンスを上げることを是とする人も居ますが、私は否定派です。

つまり、ハイパフォーマーも同じ人間

何か特殊なことをしているのではないか、と思える人ほど、実はそんなに特別なことはしていない、というのは良くあることです。勘違いや偏見無しに、どうしてそうなっているのか、というのを冷静に分析することは重要だと思います。往々にして、特に仕事の出来不出来に関しては、因果関係が逆(〇〇だから仕事ができるのではなく、仕事ができるから○○)のケースが多いというのが持論です。

そもそもの人間のパフォーマンスなんてそんなに大差は無いのですから、ちょっとした考え方や取り組み方の違いが大きく成果の差になっているだけ、ということは少なくないのではないかと思います。

コミュニケーション能力が求められる時代へ

以上、仕事ができる人は自己開示ができる人なのではないか、という話でした。

一方で、この自己開示に対して、ちゃんとそれを受け止めて共感できるスキルも、リモートワーク環境では重要なスキルになっています。自己開示と共感という関係性の構築こそが、リモートワークのみならず、今我々のビジネス環境に求められているスキルセットなのだと感じています。

つまりコミュニケーション能力です。

コミュニケーション能力というと、雑談力とか交渉力とか、コミュニケーションそのものに何らか価値を与えるようなものという印象を持たれることも多いと思いますが、そうでもなく、自己開示と共感のような、もっと定性的で人間的な部分が重要な要素もあるということに目を向けて欲しいというのが、今日私が伝えたかったことです。

自己開示は難しいかもしれませんが、まずは他者に興味を持つことから、共感から始めるでも良いと思います。

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