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成長の評価関数について。部下は「育てる」ものではなく「育つ」もの。

time 2021/09/20

私の好きな言葉に『馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない』というものがあります。最終的には本人のやる気次第ってことなんですが、特に部下を育てなければならないと悩んでいる管理職には難しい話かもしれません。

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期待しているのは本当に「部下の成長」なのか。

今日のネタはこちら。

部下を育てなければならない、と言っているリーダーが良く居ますが、そもそも部下は育てるものではなく育つものです。そのための環境や仕掛けを用意するのがリーダーの役目であり、直接育てることなんてできません。

一方で、じゃあ育てるといった場合に、どういった形で育つことを期待するのか。気をつけないと、部下を育成しているのか、自分の都合のいい部下に仕立てているのか、よくわからなくなることがあります。

誰だって使い勝手の良い部下が欲しい

本音を言えば、誰だって使い勝手の良い部下が欲しいですし、そういう部下を育成したくなるのは自然なことと言えるでしょう。ではなぜ、それでは駄目なのか。

端的に言えば、それは今のリーダーの仕事をさばく上で必要なスキルの人間が欲しいというだけの対処療法だからです。部下の育成と、目の前のタスクの処理を紐付けてしまうと、長期的な育成や、関係性の構築ができなくなり、例えばちょっとした仕事の変化に対応できないようなことが起こりえます。

また、組織の柔軟性を実現するための多様性の芽の一端を摘んでしまうことにも繋がります。リーダーが自分の都合で部下を育成するのはあまり良い方法ではないと言えます。

評価関数は何か

じゃあどうすればよいか。昔私が出会った言葉の中でもっともしっくり来ているのは「部下の履歴書を豪華にするのが上司の役目」というものです。これは非常にイメージしやすく、また自分の都合とは異なる判断軸で部下の育成に向き合えるためとても良い概念だなと思っています。

重要なのは「評価関数」です。

評価関数とは主に機械学習で用いられる概念ですが、要するに「何が正解か」「何をより正しいと採点するか」を決める関数です。この関数の計算結果に従い、正しい結果をなるべく多く、より正解に近い結果をアウトプットできるように、機械学習を行うことで、AIモデルの精度を高めていきます。

この評価関数の良し悪しは機械学習の結果を揺るがす重要な要素であり、逆に評価関数さえきちんと定義できれば機械学習でモデル構築を行うことができる、すなわち「AIで処理できる」とまで言われるわけです。逆に評価関数の定義が難しいものはまだまだAIでの処理も難しく、例えば「人生の評価関数は何か?」みたいな問いが話題として出てきます。

話を戻しますが、この評価関数という考え方は我々が日々を生きる中で、何を持ってより「良い」と判断するか、という概念を明らかにするうえで便利なものだと考えています。前述の使い勝手の良い部下の話であれば、上司の目からすると、自分が業務を進める上で、使いやすいことを評価関数としています。

一方で、履歴書を豪華にするというのも評価関数です。この場合この評価関数には、豪華か否かという判断基準こそあれ、基本的に上司の主観、あるいは今の業務に直接関与するような要素は含まれていません。

何が正解か、と決めることは難しいですが、この評価関数という考え方を部下の育成にも適応することができるのではないかと考えています。

成長は本人の成果であり、当人のためである

履歴書を豪華にする、が絶対の正解とは言えないものの、部下の育成というか、成長について、評価関数を正しく整理することで、上司の都合という主観の檻を突破できるのではないかと思います。

これは上司だけの問題ではなく、部下のほうでもちゃんと成長について考えて置かなければいけない問題でもあります。そうしないと、部下が今度は「上司が育ててくれるもの」という発想になってしまいます。上司に依存してくる部下というのもなかなかに厄介です。何事にも上司の意見や期限を伺いにくるので、業務上の正しい判断ができなくなる(思考の多様性の欠如、上司の能力が成長のトップラインとなる)懸念があります。

『馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない』という言葉に立ちかえり、評価関数を意識した成長というのを目指したいものだと思っています。

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しまりん

しまりん

自称クラウドエンジニア。ブログサーバーの性能改善に勤しむ一方、新しい技術は「動かしてみないと」「触ってみないと」気が済まない性分です。 新しいiPhoneやっぱり楽しい。



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