数値目標は客観指標か、主観指標か

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「数値目標は必ずハックされる」と言われますが、改めて、数値化することの客観性と主観性と、どっちが勝つのかな、と考えてみました。結論、数値はツールである、ってことに尽きると。

数値目標は客観的?

今日のプロンプト。

KPIを数値化、定量化することで客観的な評価指標として活用しようという考え方がある一方、数値には集計・設計する側の意志が入り込むものという側面もあり、果たして本当に客観的な指標と言えるかという懸念があります。数値としての客観性と数値に入る主観性と、どのように向き合えば適切な数値管理が実現できるでしょう。

新年度が始まってもうすぐ3ヶ月、四半期も終わるタイミングで、おそらく目標設定や期中の見直しなども始まっているころかと思います。

目標設定で良く言われることに「数値化」っていうのがあります。定量化することで、計測を容易にしたり、可視化しやすくしたりする考え方です。一方で、数値にはハッキングされるリスクや、計測者の意志が入り込む隙があることも多く、果たしてどこまでその期待される効果が実現されるか、危うい面もあります。

もちろん、厳密で改ざんのできないKPIを設計することがベストではあるのでしょうが、それはそれでなかなかに骨が折れるというか、目標設定のための目標設定みたいな感じになりかねないのも辛いです。そんなことを考えていたら、数値管理がゲシュタルト崩壊してきたので、ちょっと考えてみました。

ちなみに、個人的には目標設定はあまり好きじゃないです(苦笑)。まあ生成AIで目標設定を支援するっていうのはユースケースのテンプレになってるので、良い時代になったなぁと思うところもあります。

数値化のメリット

数値化によるメリットは多いです。

何より視認性が上がることの効果は大きいと言えるでしょう。共通言語として、数値でのやり取りができることによるメリットは非常に大きいです。加えて、現状認知のフィット&ギャップについても、距離感を持って捉えることができるようになり、どれくらい、何が乖離しているかの言語化が容易になります。

予実の乖離に速やかに気づき、対策を打つことができたり、費用対効果を語ることもやりやすくなります。目的・目標も明確になって、解像度が上がるメリットがあります。

そして数値化された実績はナレッジとしての価値もあります。後から数値履歴を見なおすことで、次回の対策の参考になります。そうすることで、再現性を高めるとともに、新しいメンバーの学びにも繋がります。

数値化することのメリットは実務の面も含め、非常に大きなものがあると言えます。

数値化に潜む罠

「数値目標は必ずハックされる」とも言われますが、数値化には危険性も伴います。

最も良くあるケースが、数値を良くすることだけを目的にしてしまい、本来の目標を見失ってしまうことです。前述の視認性の良さが相まって、数値の良さに酔いしれていしまうケースがあります。

また主観的な数値の解釈が入り込むケースがあります。良い数字だけを報告するようなパターンもありますが、決められたKPIに関しても、解釈の入り込む隙があれば、恣意的な数値報告が行われることも少なくありません。

サンプリングの偏りや恣意的な集計ルール、セグメント定義の変更(ゲリマンダリング)など、意外に良い結果を導き出す手法は様々存在するため、数値=客観的で間違いのない手法と一義的に考えるのは少々危ういと言えるでしょう。

数値化の要件とは

こういった懸念にどう対処するかといえば、端的に数値の使い方についてのコンセンサスをしっかり行うことに尽きると思います。

数字は「手段」である

数値目標という言葉を使ってしまうとちょっと混乱するのですが、KPI/KGIというインジケータはそもそもは評価の手段の一つであり、あくまでツールでしかないということを認識するのがまずは第一歩かなと思います。

どうしても視認性の高い数値が一人歩きするシーンが多いですが、あくまで数値は目標の進捗を測るバロメータでしかなく、測定にも読み手にも主観による解釈が入り得るものだということを前提としなければいけないと思います。

その前提において、その数値の解釈と、本来の目的・目標との関連付けを動的に調整していく姿勢が必要なのではと思います。

数字は「コミュニケーションツール」である

つまり数値で語ることはコミュニケーションの一端であるということです。円滑なコミュニケーションや意思疎通のために数値化するのであって、その数値の見せ方そのものには実質的にはそれ以上の価値は無いということです。

良くあるシチュエーションとして、延々と上司に良い数字を報告してたら、最後に「結局うまく行くのか行かないのか、リスクはどこにあるのか」みたいな、数字とは関係の無い質問を受けて困ってしまうケースがあります。数値はもちろん大事なんですが、その数値をもとに何を伝えるかのほうが大事ということです。

数字の使い方、解釈、目標・目的との関係性についてのコンセンサスが根っこにあるべきなんだと思います

数値を動的に捉えること

数値っていうのは便利ですが、あくまでコンセンサス形成のためのツールとして、動的に解釈や定義を変えていく姿勢が大事なんだなと思います。数値化することは非常に強力なツールであるからこそ、適切に使わないと、本当に「数字遊び」になってしまいます。

ツールとしての数値化には客観性と主観性が入り混じってしまうのですが、その事自体が問題なのではないと思います。むしろ意志を持った数値ほど説得力のあるものが無いのも事実です。だからこそ、真摯な態度で数値とは向き合っていきたいなと思ったのでした。

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